R.M Monthly Authentics:初めてでも間違いないランニングシューズ選び。《プーマ ヴェロシティ ニトロ4》前編
ランニングにおける、“オーセンティック” な一足。コレさえ選べば、間違いないシューズを追い求める「R.M」の連載企画が今回フォーカスするのは、プーマ。ドイツを本拠にグローバル展開するスポーツブランドである。
今回の取材に応えてくれたのは、プーマジャパンのランニング部門MD(商品企画)の安藤悠哉さん。安藤さんは、青山学院大学が箱根駅伝で三冠・三連覇を遂げた際の主将という、元ガチアスリート。箱根駅伝で活躍したヒーローにして、ランニングシューズのマーケットの旬を語れる人物は、業界広しといえど、安藤さん以外に思い浮かばない逸材である。
プーマは、ここ数年ランニングに特に注力しており、駅伝や実業団で走るエリートランナーから、私たち“ノン”ガチなランナーまで幅広いサポートを行っている。安藤さんへのインタビューは、まさに箱根駅伝直前、暮れも押し迫った12月に行われた。

箱根駅伝でのプーマ着用率が、さらにアップ⁉
「2026年の箱根駅伝でのプーマの着用率は、今のところ(2025年12月19日現在)、前年を上回る数値を見込んでいます。プーマのランニングシューズが、トップの選手たちにも広く認められるようになってきました」
と語る安藤さんが、大学卒業とともにスポーツブランドの世界にやってきた当初は、それまででの勝利と記録を追い求める選手という立場と、競技者のみならず幅広い層にランニングシューズを提供する立場との違いに、大いに戸惑ったという。
「自分が選手の時は、競技者の目線でしかスポーツブランドを見ていませんでした。仕事を通して、(スポーツブランドは)選手の環境や道具をサポートする存在だけでなく、ブランドの価値を選手と共有することを学びました。こうした学びは、現役の選手にも伝えたいと感じています」(安藤さん)

青学の元主将・安藤さんが薦める、一足とは
もうひとつ安藤さんが気づいたのは、ランニングをする人々の数の多さとともに、その目的がひとそれぞれで全く異なること。安藤さん自身は就職後に一度は走ること止めたが、ほどなくして再び走り始めたという。
「少し体重も増えて、健康を意識したからです(笑)。今までは、走ることは=タイムだけでしたが、リフレッシュとか、健康を意識して走った時に、違う気持ちよさを感じました。その時に改めて、多くの人が走っている理由に気づきました」(安藤さん)
貪欲にタイムを求めるガチなランナーのメンタリティーを熟知し、私たち一般のランナーの走る楽しさも理解する安藤さんが薦める、プーマいち押しのオーセンティックなランニングシューズ。それが、今回紹介する《ヴェロシティ ニトロ4》なのである。

プーマを代表する“顔”となる一足
「誰が履いてもよい、今後のプーマの“顔”にしていきたいシューズが《ヴェロシティ ニトロ4》です。トップランナーも、一番長い時間行っているのはジョグですから、彼ら彼女らを支える意味でも大切な一足です。私も朝5㎞を30分ほど走りますが、その時にも、もちろん履いています」(安藤さん)
安藤さんが《ヴェロシティ ニトロ4》を薦めるのは、もちろんトップランナーだけではない。これから走り始める人、初めてフルマラソンに挑戦する人、サブ5(フルマラソン5時間以内)を目指すランナーにお薦めだとも語る。
「プーマのランニングシューズに共通するのは、“速さ”です。スピードというと競技者を想起しますが、競技者だけでなく、走るすべての人たちに、“速さ”を感じて欲しいと願っています。その速さの根幹にあるのが、ミッドソールに搭載しているニトロフォームです」(安藤さん)

超臨界発泡「ニトロ」フォーム
ニトロは、プーマが誇るスーパークリティカル(超臨界発泡)製法のフォーム材。樹脂に高温、高圧力を加えて、液体と気体の中間の性質を持つ超臨界流体を作り、超臨界流体の状態での射出発泡により成形される。気泡が細かく高密度で発泡されているため、優れた応答性とクッション性が得られるのが特徴で、搭載するシューズごとに、材料や配合、発泡などをカスタムしているという。
「《ヴェロシティ ニトロ4》は、使いこなしやすいタイプのシューズを目指して開発されました。トップ選手が履くレーシングシューズに搭載されている、板バネのようなプレートは入っていません。それでいて、(一般的に)レースで使用されるレベルの反発性に優れるニトロフォームをフルレングスで使用しています。フィッティングや軽さなど、すべての点においてバランスが取れているのが最大の特徴です」(安藤さん)
安藤さんが強調する《ヴェロシティ ニトロ4》のストロングポイントは、ニトロの弾む感じだという。着地衝撃に対するエネルギーリターン(反発性)は、85%。一般的なレーシングモデルのリターン率だという。
「プーマは、アメリカのボストンに『ニトロラボ』というランニングシューズの開発拠点を設けています。それに加え、マサチューセッツ大学とも連携し、エネルギーリターンに関する客観的な実験データなどを公表しています」(安藤さん)

前作よりも14g軽量化
《ヴェロシティ ニトロ4》の重量は、約250g(27㎝片足)。耐久性を高めるため、アウトソール(靴の裏)には厚みのある=重量がかさむラバー(プーマグリップ)を採用しているのだが、前作の3に比べて約14g軽量化している。
軽量化は、前作の3では2層だったミッドソールを、軽量なニトロフォームの1層にしたことで得られている。さらにニトロフォームのパフォーマンスを引き出すべく、ドロップ(前足部とかかと部のソールの高低差)は前作同様の10㎜設定ながら、素材のパフォーマンスを最大限に引き出すことで、エネルギーリターンをより効率よく加速に活かせるようになっている。
一方、《ヴェロシティ ニトロ4》のかかとからつま先にかけてのソールの反りは、比較的フラットに仕上げられている。ソールの反り(ロッカー)を大きくすると転がるように足が前に出るのだが、過度な加速に転じないよう、フラットに寄せることで安全への配慮も施されているのだ。《ヴェロシティ ニトロ4》は、まさにデイリートレーニングにふさわしいモデルなのである。



左/かかとのリフレクターには、EKIDEN PACKオリジナルのマークが。中/アッパーには、エンジニアードメッシュを採用。上から見ると、ミッドソールがせり出し、安定性が高いことが分かる。右/足首周りの肉厚のクッション材を服の襟(カラー)に見立て、足首を包み込むロールカラー構造を採用。
ランナーたちの気持ちまでサポートする一足
「《ヴェロシティ ニトロ4》は、私たちが『トライオン活動』というプロモーションを通じて、長く履き続けてもらえるモデルへの成長を目指しています。全国のスポーツ量販店や専門店、ランニングコミュニティで試していく機会を増やしているので、気になった方はぜひ一度試していただきたいですね」(安藤さん)
さらに《ヴェロシティ ニトロ4》を発売するタイミングは、前作の2月発売から7月発売に大きく変更となった。ランニングシーズンを前に、各社が新モデルを投入するタイミングよりも先んじて商品を並べる戦術に切り替えたという。
確かに、秋のシーズンインを前に、夏の走り込みは走力アップのために欠かせない。しかも酷暑が予想されるとなると、新製品で気持ちだけでも上げたくなる。そんなランナーたちの気持ちもサポートしてくれるのは、嬉しい取り組みでもある。

《ヴェロシティ ニトロ4》のインプレは、後編に続く!
安藤さんと軽いジョグも交えて話を聞くほどに、《ヴェロシティ ニトロ4》の性能をもっと試してみたくなってきた。というコトで、試履きへGO。本連載の目的は、“ちょっと走ってみようかなぁ”というランニングに合う、オーセンティックな1足探し。インプレで想定するシーンは、次の4つだ。
- まずは、足入れ、
- ビギナーを含めた「運動不足の解消」を目指す低速での走行、
- お腹周りの体脂肪を燃やすための長時間走に合った「痩せラン」ペース、
- そして気分爽快のためのダッシュの「スカッと走」。
いずれも競技未満の“フツー”のランニングシーン。では、それぞれの速度帯での《ヴェロシティ ニトロ4》の実力は……。というところで、残念ながら前編は終了。試走の詳細は、後編に続くのである!
撮影/小川朋央


