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R.M Monthly Authentics:初めてでも間違いないランニングシューズ選び。《MIZUNO NEO ZEN2》前編

大田原透

走る理由は、ひとそれぞれ。運動不足解消、体重のコントロール、気分転換、走力向上などなどなど。で、そんな時の頼れる一足に、何を履くべきか……。お待たせしました! “コレさえ選べば、間違いなし”のシューズを探求する「R.M」連載企画を今月もお届けします。

今回訪れたのは、日本が誇るミズノの東京本社。取材に応じてくれたのは、ランニングシューズの商品開発を担当する鈴木康平さん、マーケティングの加藤利行さんである(何と鈴木さんは、わざわざ「R.M」の取材のために、大阪本社から駆けつけてくれた!)。前のめりの2人の熱い“圧”に応えるためにも、私たち取材チームも手を抜くワケにはいかない。

鈴木さん、加藤さんが推してくれたのは、《MIZUNO NEO ZEN》の最新作。ミズノの定番シューズと言えば《ウェーブ ライダー》だが、2人は自信たっぷりの笑顔で、《MIZUNO NEO ZEN》が、次世代のミズノの大定番に育つと語る。

大学野球部出身、2025年からランニングシューズの企画開発を“熱く”担当する、鈴木康平さん。

ミズノの次世代の柱、《MIZUNO NEO ZEN》とは?

「ご指摘の通り、ミズノの定番ランニングシューズと言えば、誰もが《ウェーブ ライダー》と思われるハズです。実際、この2026年夏には30代目の《ウェーブ ライダー》の発表を控えています。30年間ミズノのランニングシューズを代表し、けん引してくれているライダー存在があるからこそ、次世代の柱となるシューズが必要なのです」(鈴木さん)

鈴木さんが、次の世代の柱と語る《MIZUNO NEO ZEN》。現在、2代目となる《MIZUNO NEO ZEN2》が発売されている。名称を直訳すれば、“新しい禅の境地”。ランニングに没入するバウンス感が得られる、今までのミズノにはないジャンルへの一足なのだ。

「ライダーにはない、それでいてミズノらしい《MIZUNO NEO ZEN》は、現在のランニングシューズ開発の潮流であるバウンスのニーズを踏まえ、素材の技術革新の後押しを得て開発されました。ランニングが楽しくなる弾むシューズ、それが《MIZUNO NEO ZEN》です」(鈴木さん)

《MIZUNO NEO ZEN2》 メンズ25~29㎝、1色展開。重量245g(メンズ片足27㎝)。レディース22.5~25.5㎝、1色展開。ユニセックスは22.5~29、30、31㎝で、直営店限定2色展開。17,600円(税込)。

ミズノが挑む、ミズノしか出せない、バウンス

「《MIZUNO NEO ZEN》は、《ウェーブ ライダー》を超えるというミッションがあります。5年以内に肩を並べると予測し、注力しています。さらに欧米、特にヨーロッパでは、《MIZUNO NEO ZEN》を含めたNEOシリーズへの期待が、日本以上に大きいと感じています。バウンスする衝撃吸収性と反発性に対する、“ワォ”という驚きの反応を好んでいます」(鈴木さん)

バウンス感を得られる“ワォ”なシューズは、ランニングのみならず、日常生活での普段履きでのニーズも見込める。仕事に、ショッピングに、快適かつカジュアルに履けるからだ。確かに、その意味では、ランニングシューズの万能モデル《ウェーブ ライダー》よりも《MIZUNO NEO ZEN》のビジネス的なポテンシャルが高いのは、なるほど理解できる。

「初代《MIZUNO NEO ZEN》のバウンス感は、今までのミズノにないジャンルへのチャレンジでした。そのため多くの注目と、熱烈な支持を得ることが出来ました。だからこそ《MIZUNO NEO ZEN2》の開発では、さらに広く受け入れられるために、バウンスの驚きだけでなく、ずっと長く履き続けていただくための改良を重ねる必要がありました」(鈴木さん)

ミズノのシューズの象徴「ランバード」。鳥を形作る曲線は、実は、大小いくつもの惑星の軌道なのだとか。スポーツの無限の可能性を示すマーク、なるほど奥が深い!

スペックの重量よりも、はるかに大切なコト

鈴木さんたち開発チームが行ったのは、バウンスの心臓とも言えるミッドソールの材料、前足部のラバーエリア、かかと部のホールド感を高めるパーツなど、多岐にわたった。その結果、《MIZUNO NEO ZEN2》は初代に比べて重量が10g増えたという。

「重要なのは、長い距離、長い期間走った際にも、ランナーに不安を与えないという、私たちが設定した課題の解決です。スペックの重量よりも、はるかに大切なことでした。軽くて跳ねることだけに固執する意味はありませんから」(鈴木さん)

人間が手に持って感じる重量の違いは、20g以上だという。足に履いた際の10gにこだわるのは、確かに建設的とは言えない。《MIZUNO NEO ZEN》のバウンスのコンセプトを昇華させた《MIZUNO NEO ZEN2》は、こうして数多くのスポーツショップの売り場に並ぶことになった。

「フト思い出したんですが、“バウンス”という言葉が当たり前でなかった、開発当初のことです。ワタシ“こんなフワフワなモン、いらん”と言うたんですよ。“本当に、ミズノが勝負できるのか!?”と。でも、問題を課題と捉えて解決したのは、モノ作りの企業として胸を張れると自負できます。反対を押し通さなくて良かったです」(加藤さん)

ミズノ東京本社で迎えてくれた加藤利行さん(右)。“履けば分かる”を信条に、全国各地で試し履きの機会を提供しまくる名物マーケッター。本連載史上、最高圧かつ最高温の熱いインタビューとなった。

足も、気分も、“履けば”弾む!

《MIZUNO NEO ZEN》シリーズのバウンス感の心臓部は、肉厚なホワイトの部材であるミッドソールである。ミッドソールは、ランニングシューズ開発で各社がしのぎを削るキモとなるパーツ。《MIZUNO NEO ZEN2》のミッドソールには、ハイブリッドEVAと呼ばれる素材を、「超臨界技術」で発泡成型した「MIZUNO ENERZY NXT」を搭載している。

超臨界技術は、硬質な樹脂などの素材に、超高温かつ超高圧を加えることで、気体と液体の両方性質を持つ“超臨界流体”を生み出し、発泡成型する。素材を活かした特性持ちつつ、高密度の微細な気泡で高い反発性能を持ち、しかも軽量というフォーム材なのだ。

「超臨界技術を使ったフォーム材の特徴は、歩いた時のフワッとした感覚で、走りだすと押し出されるように変化します。着地の感じは、モチっとした感触です。私たちマーケの現場では、試し履きで、実際に履いていただき、走って、スピードを上げて感じくださいと話しています!」(加藤さん)

まさに、加藤さんお家芸“履けば分かる”なのだが、それでは記事にならない。しかしながら、履いた時の感覚は、従来のミッドソール素材から得られる感覚とは全く異なる。履くことで、加藤さんの言葉通りの体感が得られるのだ。

左/ミッドソールの内側にある「MIZUNO ENERZY NXT」の記載。《MIZUNO NEO ZEN2》のミッドソールは単層で、推進力や安定性を高めるボードやシャンクは入っていない。
右/アウトソール。この画像からは分かりにくいが、中足部が盛り上がっている。

少しでも長く、少しでも楽に

ミッドソールのフォーム材の、軽量性、反発性、クッション性を、さらに活かす機能が「スムーズスピードアシスト」である。「MIZUNO ENERZY NXT」と併記されているので、気になった読者も多いはずだ。

画像では分かりにくいが、スムーズスピードアシストを搭載するシューズの中足部のソールは、かかとや前足部よりも盛り上がっている。着地から前足部に重心が移動する際に、ソールの盛り上がりが進行方向に潰れることで、常に一定の角度で蹴り出せるように設計されている。

そのため、長い距離や長い時間走った際にかかる、過度なふくらはぎの筋肉への負担が抑えられるという。スムーズスピードアシストは、ランニング動作におけるカラダへの負荷を、時間軸で解析する「ダイナミック バイオキネティクス」を具現化した構造なのだ。

「スムーズスピードアシストは、少しでも長く、少しでも楽に走るためのシステムです。1㎞を6分で走る、“キロ6”のペースで高いメリットを感じるハズです。スムーズスピードアシストが対応するレンジ幅は広いので、“キロ5”や“キロ7”、フルマラソンの後半のいわゆる“35㎞の壁”でも体感いただけます」(鈴木さん)

加藤さん自身、今シーズンの「岡山マラソン(フル)」でスムーズスピードアシストに救われたのだとか。「シューズにしっかり乗れば前に進むことを知っていたので、バウンスのチカラも借り、最後まで脚を停めずに完走できました」(本人の感想です)

ランナー自身の成長、向上心をサポートする一足

「《MIZUNO NEO ZEN2》の主なターゲット層は、“キロ5~7”の一般的なランナーの方々です。ミズノのHPでも、“一般ランナーのジョグおよびポイントトレーニング”と記載している通り、走力アップを目指すランナーにも履いていただけるスペックを備えています」(加藤さん)

ご存じの通り「ポイント練習」は、走力のレベルアップのために定期的に組み込む、高強度の練習メニュー。ペース走やインターバルなど、ランニングコミュニティやチームなどでお馴染みのワードだ。《MIZUNO NEO ZEN2》は、そうしたランナー自らの成長や向上心までもサポートできる一足なのだという。

「《MIZUNO NEO ZEN2》のバウンス感や推進力は、スピードを上げても対応します。(月間走行距離が)100㎞を超えるような、ちょっとガチに走ろうと志すランナーの方々にも選んで欲しいシューズです」(鈴木さん) 

ミズノのシューズを象徴するランバードは、シューズの外側と内側とでアシンメトリーにデザイン。足の甲に密着するブーティ構造に加え、ホールド感が高いというかかと部も印象的。早く、走って試したくなる。

《MIZUNO NEO ZEN2》のインプレは、後編にて!

ミズノの熱い2人が、高温✕高圧の“超臨界状態”で推してくれた《MIZUNO NEO ZEN2》。これからのミズノランニングをけん引するという期待感もあり、どうにも気になってきた。というコトで、試履きへGO。本連載の目的は、“ちょっと走ってみようかなぁ”というランニングに合う、定番の一足探し。インプレで想定するシーンは、次の4つとなる。

  1. まずは、足入れ、
  2. ビギナーを含めた「運動不足の解消」を目指す低速での走行、
  3. お腹周りの体脂肪を燃やすための長時間走に合った「痩せラン」ペース、
  4. そして気分爽快のためのダッシュの「スカッと走」。

どれもが私たちの“フツー”のランニングシーンだろう。それぞれの速度帯での《MIZUNO NEO ZEN2》の実力は……。というところで、前編は終了。熱過ぎるインタビューをクールダウンし、試走の詳細は後編にて。乞うご期待のである!

今シーズン、12年振り2度目のフルマラソンに挑むという鈴木さん。右は、毎年フルを1本以上走っているにもかかわらず、(夏にさぼるので)まったく進化しない筆者……。

撮影/中田 悟

この記事を書いた人
大田原 透
大田原 透
編集者
フィットネスライフスタイルを提唱する『Tarzan』元編集長。1968年生まれ、身長175㎝、体重68㎏。フルマラソンのベストタイムは3時間36分台という典型的な市民ランナーにして、ウルトラマラソン、トレイルランニング、トレッキング、ロードバイクなど長時間&長距離スポーツをこよなく愛す、走って&試して&書く業界猛者のひとり。
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