今春から拠点をアメリカへ!佐藤圭汰選手の現在地
駒澤大学時代は、5000mの室内日本記録(13分9秒45)や3000mの室内日本記録(7分42秒56)をマーク。箱根駅伝でも2度区間新記録を樹立するなど、世代を代表するランナーとして活躍し続けている佐藤圭汰選手。この春から、ナイキが創設したトップクラスの陸上長距離ランナーやコーチ、イノベーターによるネットワークであるSwoosh TCで練習を開始。アメリカに拠点を移してプロとして活動しています。現在の練習環境や今後の目標について話を聞きました。

1500mにフォーカスして世界陸上を目指す
6月の日本選手権では5000mではなく、1500mに出場した佐藤選手。その狙いはどこにあったのでしょうか。
「2027年の北京世界陸上までは、1500mにフォーカスしたいと思っています。シンプルに1500mが面白いというか、もう一度しっかりと1500mに取り組みたかったというのがあります。5000m、10000mと距離を延ばしていくにしても、1500mのスピード持久力というのは強化しなければいけないと思っています。5000mも1500mもとなると、故障のリスクが上がってしまうので、1年目、2年目は1500mにフォーカスしてタイムを伸ばしていけたらと思っています。コーチ(Swoosh TCのヘッドコーチを務めるマイク・スミス氏)にも数年は1500mをメインでやっていきたいという話をしていて、そこを理解してもらって1500mにフォーカスしていこうとなりました」
日本選手権の1500mでは、3分38秒30をマークしながらも決勝に残ることができませんでした。
「やはり決勝に行きたかったですし、甘い考えなのですが3分30秒台で走れれば決勝に行けるだろうと思っていたところもあって。日本の中距離のレベルが上がっているということも痛感させられたレースで、反省と悔しさが残りました。一方で、4月から4年ぶりに1500mに取り組んで、タイムは順調に上がってきているので、悔しかったですが収穫もあるレースでした。
大学での4年間は5000m以上の長い距離をずっとやっていて、ハーフマラソンも走っていたので、フォームが長距離寄りになっていて。走りの感覚的には高校生のときの方が1500mを走れる感じがあって、中距離を走れる感覚はまだ十分に戻ってきてないのですが、その中でも3分38秒で走れたというのは地力がついてきたということなのかなと思っています」

佐藤選手は1500mのどこに楽しさを感じているのでしょうか。
「戦略を立てる難しさが楽しさですかね。ちゃんと考えて走らないと後半失速してしまうので、そこが面白いと感じているのと、あとはスピード感覚ですね。1周(400m)60秒を切るスピードで走るのはめちゃくちゃキツイんですけど、そのスピードで走るのが楽しいですね。
それから、自分に足りないラストのキックの部分を磨ける種目でもありますし、他の選手とのラストの競り合いも楽しいと感じています。
5000mや10000mは有酸素のスタミナがあればある程度勝負ができますが、1500mは単純に足が速くないと勝てない種目で、そのスピード、瞬発力を磨いてく作業も楽しめています」
当たり前の基準が変わったアメリカでのトレーニング
アメリカでSwoosh TCとともに練習に励んでいる佐藤選手。練習の中身はどのように変化しているのでしょうか。
「日本時代は一回のポイント練習で出し切る練習が多かったのですが、今は結構余裕をもって、その分回数が多い感じですね。余裕を持ちながらもポイント練習の頻度が高いので、結果的に強度の高い練習のボリュームは増えています。
ポイント練習で追い込み過ぎないように、レスト中に血液を採って乳酸値を測定して、強度が上がり過ぎないようにコントロールしている点も大きな違いだと思います。設定タイムはありますが、乳酸値を見ながらコンディションに合わせて調整していく感じです。ジョグの量は日本にいたころの方が多いですが、アメリカに行ってからは強度の高いゾーンの練習のボリュームがかなり増えました」

いわゆるポイント練習は月曜に2回、木曜に2回、土曜に1回と週に5回あり、日曜日はオフ。とはいえオフの日も完全に休むわけではなく、バイクを漕ぐなどして身体を動かしているそうです。また、ジョグやロングランは10人前後、ポイント練習は数人で行うことが多いとのこと。ハイレベルなチームメイトとの練習はそれだけで刺激になっているのだとか。
「チームメイトがダイヤモンドリーグの5000mで勝っていたり、1500mも3分33秒が当たり前くらいの選手がたくさんいるので、そういう選手たちと同じくらいのレベルになれれば、大きな舞台でメダルや入賞を狙っていけるようになれるのではないかと思っています。
アメリカに来て当たり前の基準が上がったというか、日本にいた頃は5000mで12分台、1500mで3分33秒というのはあまりイメージできなかったのですが、そういうタイムで走っている選手たちと一緒に練習して生活していると、どういう練習ができればそのタイムで走れるのかというのがわかってくるので、ありがたい環境にいると感じています」
1500mと5000mの2種目で五輪の舞台に立ちたい
しばらくは1500mに専念しながら、2028年のロサンゼルス五輪には1500mと5000mの2種目で出場したいとのこと。
「北京世界陸上の参加標準記録が、1500mが3分30秒、5000mが12分50秒ですが、ロス五輪もそのぐらいが標準になるのかなと思っています。どちらもヤバいタイムなんですけど(笑)、そのぐらいを目標にしないとダメだなと思うので、そこを目指して練習していきたいと思っています
実際、1500mであれば3分20秒台のタイムをもっていないとトップレベルの選手と勝負できないと思うので」

ナイキのシューズが一番足に合っている
大学卒業後、おそらくさまざまな選択肢があったであろう中で、Swoosh TCを選択した佐藤選手。その理由はどこにあったのでしょうか。
「ずっと海外のプロチームで活動したいという思いがありましたし、それが一番自分に合う選択だと思っていました。そして、コーチや練習環境もとても大切なのですが、ナイキのシューズが一番足に合っていると感じていたことも決め手になりました
フラッグスタッフはとてもいい環境で、標高2100mというのはきついんですが、それに慣れればパワーアップできるだろうなと思っています。アルバカーキやボルダー(どちらも標高は1600mほど)と比べてもキツさが違うので、フラッグスタッフを拠点にしているSwoosh TCであれば強くなれるだろうと感じています」
ナイキのシューズが一番足に合うと語る佐藤選手。特にどのシューズがお気に入りなのでしょうか。
「ポイント練習だとストリークフライ 2が一番好きですね。軽さと、ちょっと硬めで反発性が高いところが気に入っています。柔らか過ぎるとスピードがだし辛いのですが、ストリークフライ 2はとてもスピードが出しやすいんです。
ジョグやロングランで履いているのがペガサス 42。前作と比べて推進力が上がり、さらに反発も感じやすくなりました。とても万能なシューズだと思います。
レースで履いているのはビクトリー エリートです。グラつきがないので力が逃げず、めちゃくちゃスピードが出しやすいところが気に入っています」

将来はマラソンへのチャレンジも考えているそうです。
「マラソンはいつか絶対にやりたいですね。今はトラックにフォーカスしていますけど、いずれはトラックで勝負するスピードが出なくなると思いますし。もちろん今すぐっていうことはなくて、2032年のブリスベン五輪まではトラックをやりたいと思っているので、マラソンはそれ以降ですかね」
アメリカを拠点に世界へ挑戦する佐藤選手の今後が楽しみです。


