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アスリートとランニングシューズ【中央大学編】

神津 文人

トップアスリートたちは、シューズにどんな機能を求め、どのように履き分けてトレーニングを行っているのでしょうか。11月の全日本大学駅伝で2位となり、2026年の箱根駅伝でも優勝候補の一角に挙げられている中央大学。2025年の箱根駅伝では1区で区間賞を獲得している主将の吉居駿恭選手、全日本大学駅伝4区で区間賞を獲得した柴田大地選手、そしてチームを率いる藤原正和監督に話を聞きました。

吉居駿恭選手が練習で好んで履くのはペガサス シリーズ

吉居駿恭選手が、ロード用のレーシングシューズとして愛用しているのは「ナイキ ヴェイパーフライ 4」。ミッドソールに軽量性と反発性に優れたズームX フォームを採用し、フルレングスのカーボンプレートを搭載しています。

「僕はハイピッチで、上手く回転を出していきたいタイプなので、アルファフライよりもヴェイパーフライの方が合っている感覚があります。ヴェイパーフライ 4に関しては、ピッチが上がり、スピードも出しやすく、僕が求めている動きを出せると感じています。3よりも軽く、レスポンスも良くなった印象で、ピッチと回転が出しやすく、とても好きなシューズです」

最も距離を踏むことになるジョグで活用しているのは「ナイキ ペガサス 41」とのこと。

中央大学 陸上競技部長距離ブロックの主将、吉居駿恭選手

「ペガサスは軽さもあって、ちょうどいい厚さで、クセのないすごくシンプルなシューズだと感じていて。ペガサスよりも反発性やクッション性が高いシューズはあるのですが、脚作りに一番適しているのはペガサスだと思うので、ジョグにはずっとペガサスを使っています」

距離走やペース走など、ジョグよりもスピードが求められる練習の際には、「ナイキ ペガサス プラス」を履いているそうです。

「1キロ3分20秒、3分10秒といったペースで走るペース走でもペガサス プラスを使っています。ポイント練習でも、凄くハイペースなものでなければ、ペガサス プラスを愛用しています。駅伝が近くなって、実践的な練習でロードを速いスピードで走るときには、ヴェイパーフライを履くこともあるんですが、楽に走れてしまい過ぎるので、普段の練習ではあまり履きません。トラックでのポイント練習や速いペースのインターバルでは、ストリークフライ 2を使っています。トラックのレースで履いているのは、ドラゴンフライ エリート 2ですね」

手にしているのは「ナイキ ペガサス 41」

「エア ズーム ユニットの跳ねる感覚が好き」という柴田選手

続いて、柴田大地選手です。柴田選手が現在ジョグで使用しているのは「ナイキ ボメロ 18」です。

全日本大学駅伝で快走した柴田大地選手

「ずっと古い世代のペガサスを履いていたんですが、夏頃に周囲からもそろそろ新しいのにしろと言われて(笑)、そのタイミングでボメロ 18を試してみたら結構感覚が良くて。最初は普段よりリズム良くジョグをしたいなというときに使っていたのですが、最近は通常のジョグにも使うようになりました。今は、ジョグはボメロかペガサスかという感じですね。ボメロ 18は履いていて楽しくて、もっと走りたくなる感覚が得られるところが気に入っています」

最近のお気に入りは「ナイキ ボメロ 18」

スピードが求められるトレーニングで活用しているシューズは「ナイキ ヴェイパーフライ」。

「距離走で起伏のあるコースを走るときにはヴェイパーフライ 3を、トラックや平坦なコースを速いスピードで走る練習のときにはヴェイパーフライ 4を履いています。ロードのレースで使用するアルファフライ 3は、基本的には練習で使わないようにしているのですが、選考に関係するポイント練習や、駅伝の最後の調整練習のときには使うこともあります」

そんな柴田選手が駅伝で着用しているのが「ナイキ アルファフライ 3」です。

「ロードのレースで、一番出力感がなくスピードを出せる感覚があるのがアルファフライ 3なんです。トラックのレースでは、ビクトリー 2を履いているのですが、エア ズーム ユニットの跳ねる感覚が好きで。トラックの長距離ではドラゴンフライを履く選手が多いと思うのですが、ビクトリー 2は大きなエネルギーリターンを得られる感覚があって、自分のコンディションさえ整っていれば楽に走れる、自分の100%が出せると感じています。ロードでも短い距離であれば、ヴェイパーフライ 4やストリークフライ 2の方が適している部分があるというか最大スピードは出るかもしれないのですが、箱根駅伝のような20km前後の距離になったとき、アルファフライ 3の方が安定して速いスピードで走り続けられる印象です。

トレーニングであまりアルファフライ 3を履かないようにしているのは、本番にもう一段階上を持っておくことで、自信を持ってスタートラインに立てる要因の一つになるからです。やっぱり気持ちをどれだけ作れるかというのは長距離にとても重要なので」

柴田選手が駅伝で愛用しているのは「ナイキ アルファフライ 3」

今の大学生は厚底ネイティブ世代

藤原正和監督には、自身の現役時代にはなかったカーボンプレート搭載の厚底シューズについて、どのような印象を持っているのかをうかがいました。

中央大学陸上競技部駅伝監督を務める藤原正和さん

「ヴェイパーフライ シリーズ、アルファフライ シリーズといったナイキの厚底シューズが出てきて、凄く強度の高いポイント練習、たとえば1000メートル10本といった練習をやっても、そこからの選手たちの回復が凄く早いですし、より速いタイムを追えるようになりました。質が高く、なおかつ故障のリスクも低い、そういったトレーニングができるようになったと思います。攻めの練習を続けることができるというのは、とてもポジティブな面ですね」

選手たちのランニングフォームへの影響も大きいと藤原監督は言います。

「フォームへの影響という点では、本当に革新的なシューズだと思います。我々の時代は、いわゆるヒールストライクだったり、あるいは中足部で着地しなさいと言われていましたが、今の選手たちは前足部着地で踵をつけずに走るというやり方を、シューズがある程度そういう形を勝手に作ってくれるので。ヴェイパーフライやアルファフライの登場で、お尻とハムストリングスをしっかり使うケニア人ランナーの走りに近づいて、タイムも一気に伸びたなという印象です」

厚底シューズの使いこなし方のレベルも年々上がってきているそうです。

「当然、厚底シューズが出てきたばかりの頃は、上手く扱える選手とそうでない選手がいましたし、薄底シューズの方が良いという選手もそれなりにいました。しかし、今の選手たちは、中学生・高校生の頃からトラックではドラゴンフライを履いていました、駅伝ではヴェイパーフライやアルファフライを履いていましたという選手たちばかり。圧倒的に走り方が綺麗ですし、歩いているときからお尻とハムストリングスを使えているような選手が増えています。

その一方で厚底に慣れすぎてしまっている面もあり、足の指や足底の筋肉を鍛えるために、薄底シューズで練習する時間を作ったり、裸足で芝生を走るトレーニングなども取り入れています」

ナイキの厚底シューズは「革新的」だと語る藤原正和監督

シューズに関するアドバイスをされることもあるとのこと。

「一番声をかけるのは、アルファフライかヴェイパーフライかの選択をするときですね。アルファフライに関しては、ウェイトがあるというか、背が高くて少し体が大きい子、あるいは体が小さくてもつま先着地で綺麗な前傾姿勢が出せる子がより上手く扱える印象なので、体格やフォームを見ながらアドバイスをしています。それから、ストリークフライ 2がとても良いシューズですね。我々は坂道を使うトレーニングを良くするのですが、そのときはストリークフライ 2を履いてもらうようにしています。薄底に近い感覚で地面を捉えられて、足腰を鍛えることができ、そのうえでカーボンプレートの使い方を覚えられます。トラックスパイクと、ヴェイパーフライやアルファフライを上手く繋いでくれるシューズというか、非常に重宝しています」

ナイキの厚底シューズとともに躍動する、中央大学の選手たちの活躍がこれからも楽しみですね。選手たちのシューズの履き分けも、ぜひ参考にしてみてください。

この記事を書いた人
神津 文人
神津 文人
フリーライター
2013年にフリーライターとなって以来、健康とフィットネス、シューズのテクノロジーを中心に「Tarzan」「GIZMODO」「FashionTechNews」「Runners Pulse」などで執筆。『RUN.MEDIA』では、ブランドヒストリーやシューズの開発ヒストリー記事を担当。
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