ギア

R.M Monthly Authentics:初めてでも間違いないランニングシューズ選び。《アシックス ゲルカヤノ 32》後編

大田原透

日々の暮らしに“走る”がある「R.M」の連載企画。各ブランドのイチ押しの定番シューズについて、担当者に話を聞き、筆者が走って試す「Monthly Authentics 」が今月もやって来ました。今回の一足は、日本が誇る世界の《アシックス ゲルカヤノ 32》! 

安定性に加え、快適さを兼ね備え、アシックスにおける“新たなオーセンティック”と推薦を受けた《ゲルカヤノ 32》。前編では、東京・丸の内の皇居を見渡すオフィスで、二代前のフルモデルチェンジを含めた開発の話を伺ってきた。

《ゲルカヤノ》は、筆者にとって、苦楽を共に歩んできた、いわばバディともいえるシリーズ。何度助けられたか数えきれないが、と同時に2年前のフルモデルチェンジには面食らったことも記憶に新しく、今回の試走を心待ちにしてきた。

まずは、シューズに足を入れて歩いた際のインプレ。次は、「運動不足解消」の目的で走る、1㎞を約7分(=キロ7分)の、の~んびりペース。続いて、脂肪を燃焼させる「痩せラン」を想定した、1kmを約6分(=キロ6分)のゆっくりペース。

最後は、距離ではなく、走る爽快感を重視した、1㎞約4分30秒~5分(=キロ4.5~5分)の「スカッとラン」。さっそく《ゲルカヤノ 32》を履いてみることにしよう。

《アシックス ゲルカヤノ 32》 サイズは、メンズ24.5~29、30、31-32㎝、レディース22.5~26.5㎝。重量約300g(メンズ片足27㎝)。カラーはメンズ6色、レディース5色展開。22,000円(税込)。

まずは、足入れ&ウォーキングから

足入れは、吸い付くようなフィット感。なるほど快適。しかしながら《ゲルカヤノ 32》は、脱いだ時にこそ驚きが大きい。違和感なく足を包み込んでいたことが、脱いだ時に如実に感じられるのだ。“脱ぎ感”なんて言葉はないが、《ゲルカヤノ 32》の“脱ぎ感”はハンパなくGOOD。

ミッドソールに搭載されているのは、EVA素材なのに驚異的に軽量な「FF ブラスト プラス」。しっかり体重を支えながら、わずかに沈み込む。今のシューズのトレンドも押さえ、「安定性に優れ、かつ快適」という売り文句をそのまま体感できる。

歩いてみよう。着地から蹴り出しまでがスムーズで、軽やか。ちなみに今回の試走のお供は、最新《ゲルカヤノ 32》の三代前となる《ゲルカヤノ 29》。その理由は、《ゲルカヤノ》として変わって欲しくない“イズム”の確認と、最新アップデートの威力を体感するためだ。上記は、左足に32、右足に29を履いて、歩いて、比較してみての印象である。

《ゲルカヤノ シリーズ》の誕生は、1993年。走行時の安定性を重視するスタビリティモデルとして、世界中のランナーからの圧倒的な支持を得てきた“巨人”とも言えるシリーズだ。

1キロ7分の「運動不足解消」ペース♪

“体力を付けたい……”は、走り始めるベストな理由。ジムでマシンを挙げれば筋力は付くが、持久力は付きにくい。と、とりあえず近所を20分ほど走った“ゆっくりラン”を数値にすると、1㎞を7分かけて走るペース(=キロ7分)ほどとなる(はず)。

そこで、《ゲルカヤノ 32》。さすがの安定感。気分が乗らない時でも、走っているうちに、モヤモヤ気分までも晴れてくる軽快さだ。《ゲルカヤノ》シリーズの安心感は、キチンと《ゲルカヤノ 32》に継承されている。

わずかに感じるのは、路面をグリップするロードノイズ。もちろん、不快でもなく、うるさくもない。むしろ“グリップ効いてます”の証明だ。三代前の29とソール面を比較すると、(ロードノイズの原因となる)ラバーの面積は32の方が狭いにも関わらずなのだ。

その理由は、ランニング動作を3次元的に解析して生まれたソール形状によるものだろう。着地から、踏み込み、蹴り出しに至る一連のプロセスが立体的に連動しているからこそ、路面をよくグリップしてくれると解釈できる。

御覧のように、筆者のランニング時の着地は、かかとから。多くの初心者や一般ランナーに共通する、典型的なヒールカウンターのランナーである。《ゲルカヤノ 32》は、かかと着地のフォームをサポートしてくれるソールユニットを搭載している。

1キロ6分の「痩せラン」ペ~ス

スピードを少し上げてみよう。運動不足解消の“次”の目的、スッキリしたウェストへの近道へようこそ。腹回りに居座る体脂肪が燃え尽きるには、フッキン運動ではなく、断然、長く続けられるペースでのランニング(有酸素運動)なのである。

スピードをアップするほどに、ミッドソールのフォーム材「FF ブラスト プラス」の反発性能がクイックに高まる。着地でかかとはグラつかず、踏み面の広いソールで、走りは安定。“何時間でも走れちゃう”と思う方々が、世界中にたくさんいるのも頷ける。

三代前の29に比べ、《ゲルカヤノ 32》の走りは、軽やか。自転車に例えるとギア1枚違うほど。シューズの軽量化以上に、明らかにペースが速くなる。同じように走っているつもりなのに、1㎞につき15秒以上も違う(あくまで筆者本人の感想)。

スピードに乗るのは、着地から蹴り出しまでのスムーズさに起因していると考えられる。前足部のミッドソールの厚みを2㎜増したことで得られる、程よいクッションも奏功したのだろう。“ソールの硬い登山靴から、軟らかなトレランシューズに履き替えた”と書くと大げさ過ぎだが、感覚的には近いものがあるのだ。

筆者が着用のウェアとシューズは、カラーリングも含めて川内優輝選手の広告ビジュアルと一緒!“もっと速く走らないと……”とは思うものの、逆立ちしても追いつかないので、気持ちだけコミット。

1キロ5分(=キロ5分)以下で駆け抜けたい、「スカッとラン」!

“スピード命”の爽快感も、ランニングの楽しみ。1㎞を5分以下(あくまで筆者比)で走る高速帯でも、《ゲルカヤノ 32》の安定感は揺るがない。加速するほどにスピードに乗るタイプではないが、劇下りの坂道でも怯むことなく下りきれる優秀さだ。

その昔(と言っても3年前)の29までミッドソールに搭載され、安定性の要と言われていた硬質のパーツがなくても、《ゲルカヤノ 32》は安定したまま。発想の大転換で採用されたアーチ部分のソフトなパーツが威力を発揮しており、もはや元には戻れない。

と、以上が、この連載での試走項目。しかし《ゲルカヤノ 32》に搭載されている「4Ⅾガイダンスシステム」は、普段のジョグのみならず、長距離を走った際のサポート機能も謳われている。距離を走ってみないと分からない機能であれば、走って試すのみ!

ということで、東京・荒川の河川敷で行われた30㎞の記録会に《ゲルカヤノ 32》で参戦。初冬のフルマラソン完走を想定し、キロ5分半強(1㎞を5分30秒強で走るペース)を念頭に走ってみた。20㎞までは快調だったが、気温が上がるにつれペースが落ちたものの、かかとも中足部も安定の「4Ⅾガイダンスシステム」は揺るがない。

結果は、ほぼ計画通りの2時間57分台。まったく履き慣れていなかったので、腿の内転筋群と足指に余計な力が入ったが、さすが《ゲルカヤノ》シリーズ最新作。シーズンに向けてちゃんと履きこなすので、これからも末永くお付き合いくださいませ~♪

撮影/小川朋央

この記事を書いた人
大田原 透
大田原 透
編集者
フィットネスライフスタイルを提唱する『Tarzan』元編集長。1968年生まれ、身長175㎝、体重68㎏。フルマラソンのベストタイムは3時間36分台という典型的な市民ランナーにして、ウルトラマラソン、トレイルランニング、トレッキング、ロードバイクなど長時間&長距離スポーツをこよなく愛す、走って&試して&書く業界猛者のひとり。
記事URLをコピーしました