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R.M Monthly Authentics:初めてでも間違いないランニングシューズ選び。《BROOKS ゴースト17》 前編

大田原透

“そろそろ、走ろっかなぁ~”。と思ったら、スグにGO。下駄箱のそれっぽいシューズに足を入れ、ともかくRUN! 軽く汗を掻けば、気持ちも晴れやか。続けたくなっている自分に出会うはず。で、次回、何を履こうか……。お待たせしました、“コレさえ選べば、間違いなし”のシューズを探す「R.M」連載企画の時間です。

今回のフォーカスは、アメリカンな老舗ブランド〈BROOKS(ブルックス)〉。お話を伺ったのは、〈BROOKS〉を日本で展開するアキレスの営業統括、栗岩克明さんである。アキレスと言えば、駆けっこに不可欠の子ども靴〈瞬足(シュンソク)〉。アキレス本社プレスルームの〈BROOKS〉ブースの隣には、たくさんの〈瞬足〉が並んでいる。

栗岩さんが推すのは、《ゴースト17》。日本における〈BROOKS〉の売り上げの最大ボリュームという、文字通りのお化けシューズである。本国のアメリカでは圧倒的な知名度と人気を誇る〈BROOKS〉のシューズ開発の神髄、さっそく迫っていこう。

〈BROOKS〉の日本市場の営業を統括する〈アキレス〉の栗岩克明さん。中高大と陸上長距離で競技を続け、現在もマラソン大会に出場するエリート市民ランナーである(ちなみにベストタイムは、2時間58分!)。

お化けが開発した、お化けシューズ《ゴースト》

「日本での〈BROOKS〉人気の大黒柱は、〈ゴースト〉です。お求めやすい価格はもちろん、履き心地が良く、安定感があって、膝や腰への負担も軽減されるので、長く安心してお使いいただける看板モデルです。多くのランナーのデイリートレーナーとして、また競技選手のリカバリージョグ用として履いていただいています」(栗岩さん)

気になる〈ゴースト〉のネーミングの由来は、実はとっても大らかで、いかにもアメリカン。栗岩さんによると、初代モデルの開発担当者が、ナイトランを習慣にしていたから……。お化けのごとく、夜な夜なテストランを続けた開発者の姿が、そのまま製品名になったのだ。

お化けが生んだ〈ゴースト〉は、現在17代目。〈BROOKS〉を代表する、まさにお化けシューズへと成長している。〈ゴースト〉を含め、〈BROOKS〉がアメリカで圧倒的な支持を得ている理由は、ランナーたちのマインドに寄り添っているからだという。

「〈BROOKS〉は、ランニングに特化した専門ブランドです。1914年の創業当初は他のスポーツシューズも作りましたが、選択と集中を進め、2001年にランに絞ることにしました。安定性を重視する〈ゴースト〉の本質もブレません。〈BROOKS〉が〈BROOKS〉である限り、ランナーからの信頼は絶対に裏切れないのです」(栗岩さん)

各パーツのシナジーが生む、安定性

《ゴースト17》の走行安定性の高さは、各パーツのシナジーの賜物。足の甲をしっかり包み込みながら通気性を担保する、2層のメッシュ素材しかり。ソールに貼られたロードトラックラバ―も、路面をグリップしつつ堅牢、ヘタりにくくタフに長く履き続けられる。

路面を掴んで蹴り出す前足部は、左右にわずかにせり出すほど広い面を確保しており、長距離のレースによるフォームの崩れをカヴァー。加えて、上から見てもハッキリ分かるのが、かかと部を含めた履き口のボリューム感だ。

履き口のボリューム感は、〈BROOKS〉が絶対に譲れないストロングポイントである“履き心地の良さ”に直結する。競合他社も同クラス製品でチカラを入れるパーツだけに、〈BROOKS〉も負けじと入念なアップデートを施している。快適な高級車のシートを思わせるほど、かかとごと足をしっかり包み込むのだ。

安定性を支える最重要パーツ、「DNA LOFT v3」ミッドソール

《ゴースト17》の走行安定性を語る上で、忘れてならないのはミッドソール「DNA LOFT v3」。これまた車に例えるなら、エンジンとシャーシを合わせたような最重要なパーツで、ランニングシューズブランド各社の開発競争の激戦の象徴でもある。

「〈ゴースト〉のミッションである安定感を損なわず、かつクッションの快適さを活かした素材が『DNA LOFT v3』です。EVAをベースにラバーなども加え、窒素を発泡材にした超臨界発泡技術で成型しています」(栗岩さん)

より軟らかく、軽量、しかも弾力性がある『DNA LOFT v3』を搭載した《ゴースト17》が、前作から仕様を変更した点は、そのボリュームの配分だという。前作《ゴースト16》に比べて、前足部の厚みを3㎜、かかと部も1㎜増やしている。

「クッションを厚めにしたことで、バウンス感が増しました。しかし《ゴースト17》は、いわゆるスピードシューズではないので、無理に跳ねないよう、ドロップ(前足部とかかと部の高低差)を10㎜に抑えて、安定感も担保しています」(栗岩さん)

〈BROOKS〉独自のミッドソール素材「DNA」は、搭載するシューズのタイプによって、複数開発されている。《ゴースト17》には、幅広いランナーが扱いやすい『DNA LOFT v3』が採用された。

〈瞬足〉のアキレスが、〈BROOKS〉を日本で展開する“深”戦略

「日本では、〈BROOKS〉の知名度がまだまだ十分ではありません。しかし〈BROOKS〉は、汎用性の高い〈ゴースト〉だけでなく、トップアスリートのレースシューズから、ウォーキングにも適したタイプなど、幅広いレンジを用意できています。〈BROOKS〉には、今の2~3倍の規模になるポテンシャルが十分に備わっています」(栗岩さん)

〈アキレス〉が日本における〈BROOKS〉の総代理店になったのは、実は2019年からと、日が浅い。ご存じのように〈アキレス〉は、子ども向けの〈瞬足〉を展開する日本の老舗メーカーでもある。さらに、自社の名前を冠にしたレザーシューズの〈アキレスソルボ〉なども展開するが、“ギョーカイ”的には建材や工業資材などの素材メーカーとしても広く知られている。

「私たち〈アキレス〉は、スポーツ量販店だけでなく、街の一般的なシューズショップや百貨店への営業網という強みも持っています。社員の半分はシューフィッターの資格を取得しているので、製品を通して、お店の方々とも連携し、足のけがの予防やフィッティングへの理解を深めていただくことにも努めています」(栗岩さん)

栗岩さんは“〈瞬足〉を卒業したら〈BROOKS〉”という仕組み作りも強化していきたいと語る。

“いつもの一足”、《ゴースト17》の実力やいかに! 

《ゴースト17》は、普段のジョギングはもちろん、ハードなトレーニングの翌日のリカバリーラン、初めてのフルマラソン、はたまたウォーキングまで幅広く履ける一足である。しかしながら栗岩さんは、《ゴースト17》のターゲットを特には定めていないと語る。

「社内や、営業先でもよく聞かれますが、《ゴースト17》は気軽に履いて欲しいシューズなので、あえて使い道を限定する必要はないと考えています。一足のシューズを大事に履き続けるウィークエンドジョガーにも、トレーニングに応じてシューズを何足も履き分けるエリートランナーにもお薦めできる“いつもの一足”ですから」(栗岩さん)

栗岩さんの話を聞くほどに、《ゴースト17》を試したくなってきた。というコトで、いよいよ《ゴースト17》を実際に履いてのフィールドテストに移りたい。インプレで想定するのは、次の4シーンだ。

  1. まずは、足入れ&ウォーク、
  2. ビギナーを含めた「運動不足の解消」を目指す低速での走行、
  3. お腹周りの体脂肪を燃やすための長時間走に合った「痩せラン」ペース、
  4. そして気分爽快のためのダッシュの「スカッと走」。

どれもが私たちの“フツー”のランニングシーン。それぞれの速度帯での《ゴースト17》の実力は……。というところで、前編は終了。試走の詳細は後編に続くのである!

秋に参戦予定のフルマラソンで、久しぶりのサブスリー(3時間以内の完走)を目指すという栗岩さん(右)。まだ来ぬ夏の暑さをイイワケに、来シーズンの計画を何も立てていない筆者(左)。

撮影/中田 悟

この記事を書いた人
大田原 透
大田原 透
編集者
フィットネスライフスタイルを提唱する『Tarzan』元編集長。1968年生まれ、身長175㎝、体重68㎏。フルマラソンのベストタイムは3時間36分台という典型的な市民ランナーにして、ウルトラマラソン、トレイルランニング、トレッキング、ロードバイクなど長時間&長距離スポーツをこよなく愛す、走って&試して&書く業界猛者のひとり。
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