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R.M Monthly Authentics:初めてでも間違いないランニングシューズ選び。《ニューバランス 1080v15》後編

大田原透

“走る”がある、ライフスタイル。気持ちに刺さったトゲを抜きたい平日の夜、カラダがリフレッシュを求める休日、そして旅先で、“走る”。そんな皆さんを応援するR.Mのマンスリー企画が、この連載。じゃあ、そんな時に履く“定番ってどれ?”を追い求めている。

今回のフォーカスは、ニューバランス。足の故障を防ぐ矯正靴の開発をルーツに持つ、北米ボストン生まれの老舗ブランドである。前編では、ランニングのコンセプトストア、東京・渋谷の「ニューバランスRun Hub 代々木公園」を訪ねて、根掘り葉掘りお話を伺った。

ランニングスペシャリストの竹内さんのお薦めは、《1080》。走行安定性に優れ、幅広いシーンで活躍する、本連載のコンセプトにまさにドンピシャな一足。後編では、その最新15代目《1080v15》を、実際にさまざまなシーンを想定して試走する。

まずは、シューズに足を入れて歩いた際のインプレ。次は、「運動不足解消」の目的で走る、1㎞を約7分(=キロ7分)の、の~んびりペース。続いて、脂肪を燃焼させる「痩せラン」を想定した、1kmを約6分(=キロ6分)のゆっくりペース。

最後は、距離ではなく、走る爽快感を重視した、1㎞約4分30秒~5分(=キロ4.5~5分)の「スカッとラン」。私たちが実際に走る目的と、それぞれに合った速度帯での試走のレポート。さっそく《1080v15》を履いてみたい。

《ニューバランス 1080v15》 メンズ25~29、30、31㎝。レディース22~25.5㎝。重量261g(メンズ片足27.5㎝)。22,000円(税込)。※カラー、ウィズによって展開が異なります。

まずは、足入れ&ウォーキングから

かかとに合わせ、シューズに足を入れる。シューレース(靴ひも)は贅沢に緩めて、丁寧に足にフィットさせる。かかと周りは、フカフカの高級車のシート並みの快適さ。ライムカラーは、春の訪れを感じさせ、気持ちも浮き立つ(実際は、まだ雪が残ってたけど……)。

ゆっくり立ち上がると、クッションと推進力のカナメとなるミッドソール(グレーとホワイトの肉厚の部材)が体重を受け止め、モチっと沈み込む。新素材「インフィニオン」の、なるほどのクッション感である。

歩き出せば、蹴り出しを足指一本一本で感じるほど「インフィニオン」は繊細。手で触れた弾力感、足入れの感覚は、スーパークリティカル(超臨界発泡)技術のフォーム材に極めて近い(あくまで筆者の感想)。さっそく走って、確認しよう。

「インフィニオン」の反発性を活かすべく、シューズのつま先とかかとの高低差(ドロップ)は6㎜に設定。ロッカーもマイルドなのに、これだけ進むのは「インフィニオン」のおかげだ。

1キロ7分の「運動不足解消」ペース♪

栄養過多にして、運動不足……。体重計で現実を直視する前に、気晴らしがてら、走り出そう! ペースは、ウォーキング以上、しっかり走る未満だと、1㎞を7分ほどで走る結果になるだろう。これをランナー界隈では“キロ7分”と呼んでいる。

《1080v15》で“キロ7分”。お~っ、軽やか~♪ 《1080v15》のソール形状は、つま先とかかと部が反った揺りカゴのようなラウンド(ロッカー構造)を採用している。ロッカーの角度はマイルドなので、(ともすると構造的に)退屈な走りに感じるかと思ったが、さにあらず。どこまでも走っていけそう♡。

ミッドソールの「インフィニオン」は一層で、推進力を生むプレートなどは内部に入っていない。キロ7分で、これだけ前に進むのは、「インフィニオン」フォームの優秀性の証拠と言わざるをえない。クッション性に富みながら、高い反発性を持ち、乾いた着地音ながらモチっとした衝撃吸収。どうやら、超臨界発泡技術のフォームと考えて間違いではなさそう(こちらも、あくまで個人の感想)。

《1080v15》は、見た目以上にスマートに走る、いわば足の速い優等生。仲良く付き合えば、自分の走力も上がるハズ!

1キロ6分の「痩せラン」ペース

《1080v15》のポテンシャルを引き出して自然に走ると、1㎞6分20秒とGPSウオッチが指し示す。あくまで筆者のペースだが、フルマラソンを4時間30分~5時間で走るタイムに相当する。なるほど、フルマラソン初挑戦に履きたいモデルだ。

42.195㎞を走り切れば、重めのランチ2食分のカロリーが必要となる。いきなりフルマラソンは無理でも、お腹周りと体重をリストラしたいのであれば、長い距離を走ることは正義でしかない。まさに《1080v15》は、「痩せラン」のためのツールでもある。

体脂肪に余裕のある方は、時間の許す限り《1080v15》で走ろう。安定した構造なのに、快適に走れる。写真の撮影とは別日に、本企画のテストコースに利用している運動公園の未舗装路(+積雪&ぬかるみ)を走ったが、アウトソールに貼られたラバーのグリップのおかげで、危ない思いはしなかった(もちろん、無茶は厳禁!)。

テストコースの脇で工事車両を誘導していた警備員さんも、「何キロ走るつもりですか?」と聞いてくるほど快適(実走は20㎞弱だったけど……)。走るコトそのものが楽しくなれば、自ずと距離も伸び、体重も減ってゆく。フルマラソンは夢の話だったハズが、《1080v15》なら現実味のある話になっているかも。

「インフィニオン」フォームは、その性能の劣化がしにくく、高いパフォーマンスを維持したまま長期間履き続けられるという。コツコツ距離を積んで足に慣らし、満を持してのレース投入に備えよう。

1キロ5分(=キロ5分)以下で駆け抜けたい、「スカッとラン」!

全力で駆ける爽快感。距離は脂肪を燃やすが、スピードはココロを燃やす。1㎞を5分以下で走る高速走行(あくまで筆者比)で、《1080v15》を投入。雪解けでウェットな激下りの坂道へ、大きなストライド(歩幅)で突っ込む。

いやいや《1080v15》は、なかなかの“下り番長”。見た目以上にスマートに走る優等生な面だけでなく、加速に負けないガッツもある。ストライドが短いジョグで流せば6分20秒だったが、大きなストライドだと、フラットな路面の1㎞5分以下でも安定して心地よく飛ばせる。

《1080v15》は、長い距離をゆっくり快適に走れて、しかもゴール間際のスプリントでも怯まない、オールラウンダーな一足といえよう(もちろんカーボンプレート入りのレースモデルとの比較は野暮!)。その昔、ニューバランスジャパンが日本のランナー向けに開発した人気シリーズの高い汎用性の“イズム”を感じるのは、筆者だけではないはずだ。

お帰り、我らのニューバランス。最新モデル《1080v15》で感じたのは、さまざま速度帯にも対応する「インフィニオン」フォームが、これから巻き起こすであろう期待感。「インフィニオン」は、その性能が長く持続することも特徴。どうやら、末永いお付き合いとなりそうだ。

撮影/小川朋央

この記事を書いた人
大田原 透
大田原 透
編集者
フィットネスライフスタイルを提唱する『Tarzan』元編集長。1968年生まれ、身長175㎝、体重68㎏。フルマラソンのベストタイムは3時間36分台という典型的な市民ランナーにして、ウルトラマラソン、トレイルランニング、トレッキング、ロードバイクなど長時間&長距離スポーツをこよなく愛す、走って&試して&書く業界猛者のひとり。
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