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R.M Monthly Authentics:初めてでも間違いないランニングシューズ選び。《PUMA ヴェロシティ ニトロ4》後編

大田原透

日々の暮らしに“走る”がある「R.M」の連載企画「Monthly Authentics」。走り始めたばかりの方から、マラソンでのチャレンジを目指す、そんな皆さんが気になる、各ブランドお薦めの“定番”について、根掘り葉掘り話を伺い、実際に走って試す企画である。

今回の注目は、ドイツを本拠にグローバルで展開するプーマ。サッカーだけでなく、陸上にも大注力。日本では、駅伝をはじめトップアスリートの着用率が上がっているブランドだ。前編では、東京・青山のプレスルームで、箱根駅伝を走った元青山学院大学の主将にして、現プーマジャパンのランニングカテゴリーMDの安藤悠哉さんに話を伺った。

安藤さんが推すオーセンティックは、《ヴェロシティ ニトロ4》。今後のプーマの“顔”になると、安藤さんが太鼓判を押す一足である。トップアスリートのジョグ用、これから走り始める際の1stシューズ、フルマラソン完走を目指すチャレンジャーに最適というデイリートレーニングモデルである。

まずは、シューズに足を入れて歩いた際のインプレ。次は、「運動不足解消」の目的で走る、1㎞を約7分(=キロ7分)の、の~んびりペース。続いて、脂肪を燃焼させる「痩せラン」を想定した、1kmを約6分(=キロ6分)のゆっくりペース。

最後は、距離ではなく、走る爽快感を重視した、1㎞約4分30秒~5分(=キロ4.5~5分)の「スカッとラン」。以下は、私たちが実際に走る目的と、それぞれに合った速度帯での試走のレポートである。さっそく《ヴェロシティ ニトロ4》を履いてみたい。

《プーマ ヴェロシティ ニトロ4 EKIDEN》 画像は、駅伝シーズンを盛り上げる、この冬限定のEKIDEN PACKの特別仕様。サイズは、メンズ24.5~28.5、29、30㎝、レディース22~25.5㎝。重量約250g(メンズ片足27㎝)。17,600円(税込)。

まずは、足入れ&ウォーキングから

シューレース(靴ひも)を緩めて、《ヴェロシティ ニトロ4》に足を納める。足首周り(カラー)のクッション材はふかふか、甲に当たるタンはしっかりフィット。いい感じ♡。明るいと目立たないが、シューレースのセンターの点線のラインはリフレクター仕様だ♪

立ち上がろう。スーパークリティカル(超臨界発泡)製法のフォーム材特有の、モチっとしたクッション感。一般的なランニングシューズに多く採用されているEVA素材のフォーム材は乾いたクッション感だが、《ヴェロシティ ニトロ4》はしっとり沈む。

歩いてみる。一足ごとに、モチっとしたクッション感。加えて、前足部の踏み面が、とても広く感じられる。比較のために用意したいくつかのシューズと比べると、《ヴェロシティ ニトロ4》のフォルムは全体的にスマートなのだが、足指の付け根のアーチ部分だけ、ソールが外側にせり出している。抜群の安定感を生むように設計されているのだ。

《ヴェロシティ ニトロ4》は、衝撃吸収性と反発性に優れる一層のニトロフォームを採用し、推進力や安定性を付加するプレートなどは使用せず、誰でも履きやすい、バランスの良いデイリートレーニングモデルとして開発された。

1キロ7分の「運動不足解消」ペース♪

運動不足を解消して、体力を付けたい! 気晴らしがてらに、無理せず、怪我せず、ウォーキング以上となると、目安は1㎞を7分ほどかけて走るペースとなる(はず)。ご存じのように、ギョーカイ的には、これを“キロ7分”と呼んでいる。

そこで、《ヴェロシティ ニトロ4》。キロ7分でも、軟らか過ぎず、硬過ぎず、モチっとした着地感。髭ロン毛のおっさん(筆者)でさえ、笑みを浮かべ“うふっ”となるほど。前足部が広く、アウトソールのラバーのプーマグリップが路面を確実に掴んでいる。

さすがの安定感。前足部で路面をしっかり捉えているので、ピューマのごとく蹴り出して加速したくなるほど。(いつの間にか)走ることを楽しんでいる自分に出会えるはずだ。さらに運動不足を補うなら、時間を増やすか、負荷を上げるか……。《ヴェロシティ ニトロ4》なら、どちらでも(もちろん両方でも)応えてくれるはずだ。

ニトロフォームの反発性を活かすべく、シューズのつま先とかかとの高低差(ドロップ)は10㎜に設定。その分、ロッカー(ソールの反り)はマイルドにして、転がり過ぎない配慮がなされている。

1キロ6分の「痩せラン」ペ~ス

《ヴェロシティ ニトロ4》のポテンシャルに導かれるままに、スピードを少し上げてみよう。筆者が自然なライド感に落ち着いたのは、1㎞を6分台のペース(キロ6分)。体脂肪を燃料に、長時間の運動を“気持ちよ~く”持続できるペースである。

体脂肪はいくらでもある。惜しまず、じゃんじゃん進もう。《ヴェロシティ ニトロ4》に搭載されているミッドソールのニトロフォームは、スピードを上げると、反発性能が高まる。モチっとした着地感が消え、しっかり着地衝撃を受け止め、カラダが前へ前へと進む。

(撮影後に改めて行った)テスト走のコースには、ジャリ道や激坂もある。ジャリ道を走ると、肉厚のフォームを通じて、石の角を足裏に感じる。モチっと軟らかく、路面をしっかり捉え、なおかつ反発性に優れるが、超~繊細。《ヴェロシティ ニトロ4》に搭載のニトロフォームは、レース用のトップモデルに使う樹脂もブレンドして、その性能を高めたそうだが、なるほど納得なのだ。

今回紹介したのは、この冬限定「EKIDEN PACK」というコレクション。レギュラー品の《ヴェロシティ ニトロ4》は、メンズ・ウイメンズともに16,500円(税込)で販売されている。

1キロ5分(=キロ5分)以下で駆け抜けたい、「スカッとラン」!

スピードで得られる爽快感も、ランの楽しみ。というコトで、1㎞を5分以下で走る高速走行(あくまで筆者比)で《ヴェロシティ ニトロ4》を試してみる。まずは、激下りの坂道へGO。

グングン加速するが、《ヴェロシティ ニトロ4》の前足部の踏み面は広く、ニトロフォームの衝撃吸収性はハンパなく効いている。トレランシューズを思わせるほどの“下り番長”ぶり。この安定性の高さには、正直、驚かされた(ちなみに、登りもガンガン行ける!)。

平地に戻っても、調子に乗って加速。“ニトロフォームの威力で、ズバババーンと進む”かというと、さにあらず……。行けそうな気がするほどニトロフォームが優秀なのだが、一気に加速するようなことはなく、(当然ながら)加速に応じた分しかスピードは出ない。

デイリートレーニング用に開発された《ヴェロシティ ニトロ4》に、過大な期待を抱くのは間違い。もちろんプーマランニングには、ズバババーンなレースシューズのラインナップが揃っている。ランニングシューズも、適材適所で選ぶべきなのだ。

蛇足ながら……。筆者は前作の《ヴェロシティ ニトロ3》を高く評価し、フルマラソンでも履くほどの愛用者のひとりである。《ヴェロシティ ニトロ4》の仕様変更には、疑心暗鬼の部分もあって今回の試走に臨んだが、まったくの杞憂に終わる結果となった。安定感のある、デイリートレーナーというコンセプトの軸をぶらさず、果敢な挑戦をされた開発チームに心の底から敬意を表したい。お見事!

撮影/小川朋央

この記事を書いた人
大田原 透
大田原 透
編集者
フィットネスライフスタイルを提唱する『Tarzan』元編集長。1968年生まれ、身長175㎝、体重68㎏。フルマラソンのベストタイムは3時間36分台という典型的な市民ランナーにして、ウルトラマラソン、トレイルランニング、トレッキング、ロードバイクなど長時間&長距離スポーツをこよなく愛す、走って&試して&書く業界猛者のひとり。
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