ナイキの最先端シューズテクノロジーと最新ラインナップ【2025】


みなさんもご存知のように、トップアスリートはもちろん、多くの市民ランナーもカーボンプレートが搭載された厚底シューズをレースで着用しています。この流れを作ったのがナイキ。2017年にカーボンプレートが搭載された厚底シューズをリリースし、トップアスリートは薄底で軽量のシューズを履くという従来の常識をひっくり返しました。2021年の箱根駅伝では、出場選手の95.7%がナイキの厚底シューズを選ぶほどに。近年のランニングシーンをリードしてきたブランドであることは間違いないでしょう。
そんなナイキのランニングシューズですが、昨年末頃にラインナップが整理されました。よりシューズ選びがしやすく(楽しく!)なった、ラインナップをチェックしながら、そのテクノロジーにも迫っていきたいと思います。
ペガサス、ボメロ、ストラクチャーが三本柱に
レーシングシューズを除く、ナイキのロード用ランニングシューズは「ペガサス」「ボメロ」「ストラクチャー」の3シリーズに集約されました。それぞれアイコンモデルに加えて、「プラス」「プレミアム」という上位モデルが展開され、全9モデルのラインナップになりました(ナイキ ストラクチャー プラス及びナイキ ストラクチャー プレミアムについては未発表)。
EKIN(エキン/ナイキのプロダクトのテクノロジーやイノベーション、開発背景やストーリーを伝える担当者)の太田諒さんによれば「速さを追求したレーシングモデルとは異なり、ロードランニングモデルは快適性を追求しています。そして、ペガサスはレスポンシブ クッショニング、ボメロはマキシマム クッショニング、ストラクチャーはサポーティブ クッショニングをコンセプトとしています」とのこと。

反発性が高くスピードが出しやすい「ペガサス」シリーズ
では、もう少しそれぞれのシリーズと各モデルを詳しく見ていきましょう。
「ペガサス」は、1983年の誕生以来、多くのランナーからのフィードバックとともに進化を続け、信頼を勝ち取ったロングセラーです。レスポンシブ クッショニングをコンセプトとした「ペガサス」は、クッション性とともに反発性を重視したシリーズ。アイコンモデルの「ナイキ ペガサス 41」は、反発性を高めるために前足部と踵部にエア ズーム ユニットが搭載されています。ジョグに使えて、スピードを出そうと思えば対応してくれる、オールマイティに活用できるシューズです。

そんな「ナイキ ペガサス 41」よりも軽量で、さらに反発性に優れているのが「ナイキ ペガサス プラス」です。
「ペガサス プラスは、以前展開されていたペガサス ターボ シリーズからインスピレーションを受けて開発されたモデルになります。軽量で反発性に優れたズームX フォームをフルレングスで搭載している点が特徴で、歴代のペガサス ターボ シリーズと比べても高い反発性と軽量性を実現しています」(太田さん)
「ナイキ ペガサス プラス」は、インターバル走やペース走に活用しているランナーが多いのではないかと思います。
「ペガサス」シリーズの最上位に位置するのが、「ナイキ ペガサス プレミアム」。ナイキ史上初となる、足の形に沿うように立体的にデザインされたビジブルのエア ズーム ユニットが搭載されています。この技術の背景には、コンピュテーショナルデザインや、AIエンジン、ラピッドプロトタイピング(試作品を迅速に作るための従来の方法とは異なる技法)があるとのこと。
「長く、ナイキのイノベーターたちはフラットなエア ズーム ユニットを使って完璧なエネルギーリターンを目指してきたのですが、テクノロジーやツールの進化によって足の形状により近い形のエア ズーム ユニットが生まれました。ペガサス プレミアムに搭載されたエア ズーム ユニットは、着地から蹴り出しまで、ランナーが生み出すエネルギーをロスなく反発に活かせるように作られています」(太田さん)


また、エア ズーム ユニットの形状は、レーシングシューズに搭載されているカーボンプレートからもインスピレーションを得ているそう。「ペガサス」シリーズ史上最高のエネルギーリターンを実現しており、機能的にもデザイン的にもナイキの最先端を感じられるシューズだと言えるでしょう。
実際に「ナイキ ペガサス プレミアム」で走ってみると、ライド感はとてもユニークでした。スローペースで走り始めると、まず感じられるのが高いクッション性。これはミッドソールに採用されているズームX フォームと踵部に配置されたリアクトX フォームの効果が大きいように思います。ペースを上げると反発性の高さやエネルギーリターンの大きさが目立ってくるようになります。シューズにグッと乗り込むと、その分しっかりと返ってくるような感覚がありました。
最高レベルのクッション性を備えた「ボメロ」シリーズ
2006年に、クッション性に優れたどんな距離にも対応する万能シューズとして「ナイキ ズーム ボメロ プラス」が登場。以来ロングセラーとなっていた「ボメロ」シリーズですが、今回のラインナップの整理で三本柱の1つに。マキシマム クッショニングをコンセプトとし、最もクッション性を追求するシリーズに位置付けられました。
「ボメロは元々ペガサスよりもプレミアムなクッション性を備えたシューズとして、ペガサスよりも高価格帯で販売されてきたモデルですが、ラインナップの整理で、マキシマム クッショニングのアイコンモデルとなったタイミングでペガサスと同価格での販売がスタートしました」(太田さん)
今年2月に発売された「ナイキ ボメロ 18」のミッドソールは、ズームX フォームとリアクトX フォームの2層構造。ミッドソールのトップ、足裏のすぐ下にズームX フォームが、ボトム部分にリアクトX フォームが採用されています。ソール厚は踵部が46mm、前足部が36mmと、かなりの厚底モデルです。
あらゆるジェンダーに対応できるよう、女性ランナーの意見を積極的に聞きながら開発されたという「ナイキ ボメロ 18」は、滑らかさと柔らかさを併せ持った軽やかな履き心地が印象的。曲線を巧みに使った大胆なシルエットも特徴です。

2月に発売された「ナイキ ボメロ 18」に続き、8月に「ナイキ ボメロ プラス」がリリースされました(今年はボメロ イヤーと言えるかもしれません)。「ナイキ ボメロ プラス」は、「ナイキ ボメロ 18」の快適性、クッショニング、反発力をさらに進化させたシューズ。ミッドソールには、フルレングスでズームX フォームを採用しています。
ボメロ シリーズが培ってきたクッショニング テクノロジーに、「ナイキ インヴィンシブル 3」で得た知見を融合したとのことなので、「インヴィンシブル」シリーズが好きだったというランナーの方は、「ナイキ ボメロ プラス」を一度試してみてはいかがでしょうか。

今年10月の発売を予定している「ナイキ ボメロ プレミアム」は、エリートアスリートが走行距離を増やし追い込みつつも回復時間を短縮するために使用する、反重力トレッドミルから着想を得て開発されたモデル。
ソール厚はヒール部55mm、前足部45mmの超厚底! ミッドソールにはズームX フォームを採用し、エア ズーム ユニットを前足部と踵部に搭載しています。Breakin4に向けたトレーニングでフェイス・キピエゴン選手が、「ナイキ ボメロ プレミアム」を活用し、「私のトレーニングに欠かせない存在」だとコメントしていましたが、発売がとても楽しみですね。


「ストラクチャー」シリーズは安定性が抜群!
サポーティブ クッショニングをコンセプトとする「ストラクチャー」シリーズ。プラス、プレミアムの発表はまだですが、7月にアイコンモデルである「ナイキ ストラクチャー 26」が発売されました。
「安定性に優れたシューズと聞くと、硬い、あるいは重いといったイメージを持つランナーの方もいるかもしれませんが、ストラクチャー 26は今までストラクチャー シリーズが培ってきた安定性をしっかりと確保しながら、クッション性やスムーズさ、足入れの快適さといったものの融合を達成したモデルとなっています」(太田さん)

ミッドソールにはリアクトX フォームを採用。ミッドソールの中足部内側と踵部外側が巻き上がった構造により、着地時の過度なプロネーション(着地時に踵が内側に倒れ込む動き)を抑制し、かつプロネーションの速度を抑えることで、身体への負担を軽減してくれます。
オーバープロネーションは、ランナーが悩まされることが多いシンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)、足底筋膜炎、アキレス腱炎、腸脛靭帯炎などの原因になると言われているので、とにかくケガのリスクを小さくしたいというランナーにはとてもおすすめです。
フィット感はアッパーの素材や構造によって異なるのですが、「ペガサス」「ボメロ」「ストラクチャー」で、足型が統一されています。また、アイコン、プラス、プレミアムと横軸で価格が同じ(それぞれ税込みでアイコンが16,500円、プラスが22,000円、プレミアムが29,700円)なのも再構成されたラインナップの特徴です。わかりやすくなったラインナップの中から、自分のランニングスタイルにフィットしたシューズを選んで、ランニングを楽しみましょう。