【Run Community Interview】人を増やすより、戻ってきたくなる場所を。
3RUNNING CLUBが守る人と人との距離感
土日の早朝、都内を中心としたカフェに集まる。
まだ一日が始まりきる前の時間に集合し、街へ走り出す。速さを競うわけでも、距離を積むわけでもない。走り終えると、またカフェに戻ってくる。
コーヒーを片手に、初めて会った人と話す。前から参加している人が、新しく来た人に自然と声をかける。イベントで出会った人同士が、次は別の場所でも会うようになる。
3RUNNING CLUBで印象的なのは、ランニングそのものよりも、走った後に残る時間だ。


代表の渡邉尚樹さんは、こう話す。
「走りは目的じゃない」
ランニングは、その後のカフェの時間をもっと濃くするためのツール。3RUNNING CLUBは、そんな考え方から生まれたランニングコミュニティだ。


走った後の時間が、関係をつくる
3RUNNING CLUBらしさが最も表れるのは、ランニング後のカフェの時間だという。
走る前は初対面でも、同じ時間に集まり、同じ道を走り、同じ場所に戻ってくる。
その後にカフェで向かい合うと、ただ店に集まるだけでは生まれにくい会話が始まる。
新しく参加した人と、既存の参加者が自然に話している。3RUNNING CLUBで出会った人たちが、プライベートでも会うようになる。
イベントで使ったカフェに、後日あらためて足を運ぶ人もいる。
そうした様子を見ると、渡邉さんは「こういう場を提供できてよかった」と感じるという。
「速く走ることも、長く走ることも目的じゃなくて。走りというツールを使って、その後のカフェの時間をもっと濃くするためのランニング、というふうに置いているかもしれないですね」
一緒に走った後だから、話しやすくなる。朝の時間を共有した後だから、初対面でも少し距離が近くなる。
3RUNNING CLUBにとってランニングは、カフェでの時間を深めるための入口になっている。



毎回違うカフェに集まる理由
3RUNNING CLUBの特徴のひとつが、毎回異なるカフェを拠点にしていることだ。
固定の集合場所を持つのではなく、その回ごとにカフェを選ぶ。都内を中心に、時には横浜で開催することもある。時には、イベントスペースにてドリンクを手配して楽しむ。
カフェの選び方は、誰かからの紹介、カフェ同士の紹介、そして渡邉さん自身が「ここでやりたい」と思った場所へのアプローチだ。
「せっかくやるんだったら、ここでやれたらいいなって。参加者たちにも、ここを貸し切りできてるのは気持ちいいなと思ってもらいたいんです」
カフェは、ただ集合する場所ではない。その日の体験を形づくる、大切な舞台でもある。
参加者がコーヒーを飲む。SNSに投稿する。イベント後にプライベートで再訪する。そうした流れが生まれることで、場所を貸してくれるカフェにとっても、次の来店や認知につながっていく。
場所を借りて終わりではなく、その場にまた人が戻ってくる。3RUNNING CLUBは、カフェとの関係も大切にしながら活動している。


招待制で守っている距離感
3RUNNING CLUBは、基本的に招待制で運営されている。
通常開催は月に1回。フリー参加のオープンイベントは、2ヶ月に1回ほどのペースでInstagramなどを通じて告知される。
招待制という言葉だけを聞くと、少し閉じた印象を持つかもしれない。けれど、渡邉さんが大切にしているのは、誰かを遠ざけることではなく、場の空気を守ることだ。
「1回きりで終わるんじゃなくて、なるべく何回も参加してくれる。1回来なくなっても、またあそこに行きたいな、戻りたいなと思える場所を作りたいんです」
オープンイベントでは、応募フォームで参加理由を聞くこともある。名前やInstagram、3RUNNING CLUBとのつながり、参加回数。そして、なぜ参加したいと思ったのか。
ただ走りたいだけではなく、3RUNNING CLUBの空気やカルチャーに惹かれているかどうか。そこを大切にしている。
平均参加人数は20名程度。大きすぎないから、一人ひとりの顔が見える。その距離感があるから、初めて来た人も少しずつ輪に入っていける。
「人を集めるのが目的じゃないんです。5人でも集まれば、やる意味があると思っています」
人数を増やすより、戻ってきたくなる場所をつくる。3RUNNING CLUBの招待制は、そのための仕組みでもある。



サッカーを終えて、ランニングに出会った
渡邉さんは、2025年まで社会人サッカー選手としてプレーしていた。大学卒業後は、仕事をしながらサッカーを続ける生活。サッカー歴は21年になる。
一方で、陸上経験はなかった。
ランニングを始めたのは、2025年12月にサッカーを引退した後。同じタイミングで引退したチームメイトの先輩と「皇居ランに行こう」と話したことがきっかけだったという。
当時、SNSではランニングやHYROXなどの投稿を見る機会も増えていた。年が明けてからは、メーカーのランニングイベントや他のランニングコミュニティにも参加するようになった。
現在の運営メンバーも、もともとランニング経験が豊富だったわけではない。渡邉さんが「ランニングを始めたいから一緒に走ろう」と声をかけ、同じ会社のメンバーやサッカー時代の仲間が少しずつ関わるようになった。
代表の思いにただ従うだけではない。時には「それは少し違うんじゃないか」と意見を出しながら、3RUNNING CLUBらしさを一緒に守っている。


挑戦を応援できるハブへ
3RUNNING CLUBを一言で表すなら。そう聞くと、渡邉さんは「ファミリー」と答えた。
それは、閉じた関係性という意味ではない。一度きりのイベント参加で終わらず、互いの挑戦や活動を応援し合える場所、という意味でのファミリーだ。
参加者の中には、服を作る人もいれば、ヨガのインストラクターもいる。誰かの活動にみんなで足を運んだり、一緒にプロダクトを作ったりすることもある。
「みんなでみんなのことを応援し合える環境を作れたらいいなと思っています」
渡邉さんが見ているのは、ランニングイベントの先にある関係性だ。
これからも、人数を大きく増やしたいわけではない。企業やブランドとのコラボ、新しいカフェでの開催、参加者のアイデアから生まれる企画。3RUNNING CLUBという媒介があるからこそ、個人ではまとまりにくい話が形になる。
最後に、どんな人に参加してほしいかを聞くと、渡邉さんはこう答えた。
「自分の夢に挑戦できたり、人のつながりを大事にできる人たちに参加してほしいです」
ただ走るだけではなく、人と出会う。誰かの挑戦を応援し、自分の次の一歩にもつなげていく。
20~30人ほどの距離感で、また戻ってきたくなる場所をつくる。3RUNNING CLUBは、ランニングの先にある関係性を、少しずつ育てている。


Information
| コミュニティ名 | 3RUNNING CLUB |
| 開催 | 招待制 月2回 / フリーイベント 2ヶ月に1回ほど 土曜朝 |
| エリア | 都内を中心としたカフェ |
| 参加費 | 無料 ※カフェ利用代別途 |
| 参加者層 | 20〜30代中心 |
| 参加方法 | 基本招待制 / フリーイベントはInstagramで告知 |
| @3runningclub.tokyo |
写真・文:宮本巧(Mumei Photographica)


